盛り塩の適切な置き場所に迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
盛り塩は置き場所や扱い方によりその効果も変わってきます。
奈良時代頃から行われてきた盛り塩の由来は、神事や葬送儀礼にあったのではないかと言われています。現在でもお葬式の後に塩を体に振りまくという風習はありますが、日本の歴史書である『古事記』においても、黄泉の世界から帰ってきた伊弉諾尊(イザナギノミコト)が、穢れた体を海水で洗い流すことによってお清めを行った、という旨が記されています。
海と結びつきの深い『塩』という物に対し、古来より縁起担ぎ、魔除け、厄除けという意味合いを見出してきたのです。
現代まで引き継がれてきた盛り塩の意味、そして置く場所などを、今一度考えてみたいと思います。
目次
盛塩は厄除け・魔除けという意味以外にも、各置き場所に応じて縁起担ぎとして使用されることがあります。
では、どのような場所に盛塩を置くと、どのような意味を持つようになるのでしょうか。
盛り塩を置く場所や、盛り塩の置き方について紹介していきます。
あまり知られていませんが、盛り塩は厄除け・魔除けという意味以外にも、縁起担ぎとして使用されることがあります。
それは、古来牛車を牽く牛が塩を舐める性質があり、玄関の前に塩をまくことによって、その塩を舐めた牛が足を止める、ということが由来のようです。
当時牛車を持つ人は貴族身分の方が多く、家の中に貴族の方を招きたいという意味合いで家の前、家に入る場所、つまり玄関に塩が撒かれていました。
そのことから、現在でも玄関前に盛り塩を行うことは「運を招く」、縁起を担ぐ行為として行われることがあります。
家に運を招き入れたい場合には玄関を置き場所とするのがオススメです。
玄関に盛り塩を置くことで盛り塩が外から入ってくる厄を吸い取り、家の中に神聖な運気が流れてくると考えられています。
玄関は家の中でも特に外からの影響を受けやすい、運気の流れ込みやすい場所とされているので、初めて盛り塩を行う方はまずは玄関周りを意識してはいかがでしょうか。
ドアのすぐそばを置き場所としなくとも効果的ですので、出入りに影響されない場所に設置してみてはと思います。
玄関に盛り塩を行う場合には、玄関を開ける際に邪魔にならない場所に、そして対になるような置き方が理想的です。
二つの盛り塩を玄関の端と端に設置して、玄関の入口に線を引くイメージです。
下駄箱の上を置き場所として、一つだけ置くといった形でも問題ありません。
また、玄関の外に設置しても効果がありますが、あまり人目につく場所に置きたくない場合には、玄関の内側の例えば靴箱の上などのあまり目立たない場所に設置しても大丈夫です。
出入り蹴飛ばしてしまわないような場所は避けるのもポイントです。
キッチンは水や火をよく利用する場所だと思いますが、古来より水と火という物は風水の元となった五行思想(万物は火・水・木・金・土という5つの元素からなるという思想)に然り、強い力を持つ物として知られています。
そして盛り塩は、火と水それら二つの力が混ざり合うキッチンのパワーバランスを整えるために使用されてきました。
シンクやコンロ、レンジなどに近い場所に、あるいはそれらを利用する際の導線を意識して盛り塩を行うといいでしょう。シンクの端や、棚がある場合にはその上など、台所仕事をする際に邪魔にならない場所に置いても問題ありません。
水を扱う場所、火を扱う場所を意識して置き場所を決めてみてはいかがでしょうか。
窓際を盛り塩の置き場所とする際にも、玄関と同じようにできるだけ対に盛り塩を置くことがおすすめです。
窓は玄関と同じく、外から何かが入ってくる場所として考えられています。そのため盛り塩を対で起き、結界を張ることで外からの厄が入らないようにしましょう。
こちらも玄関と同じく、ひとつの盛り塩でも構いません。
対にしておく場合には、窓の左端と右端を意識して場所を決めることがおすすめです。
トイレやお風呂場、洗面所などは運気が滞りやすい場所として知られています。
水回りがある方角は風水的にも吉方位に建てられることが少なく、より運気の下がりやすい場所となっています。
盛り塩は、それらの場所に溜まる厄を清めるために使用されます。
トイレの場合は、給水タンクの上や棚の上などの安定した場所に置くことがおすすめです。
安定しない場所だとこぼれたり形が崩れたりする可能性がありますので注意が必要です。
お風呂に置く場合には、シャワーなどが盛り塩に当たってしまう場所だと塩の山が崩れてしまいますが、それ自体問題はありません。
しかし、盛塩がなくなってしまうと効果が得られないことも考えられますので、できるだけ水がかからない場所に設置するように心がけましょう。
もし盛り塩が水で流されてしまったときには、新しい盛り塩を設置すれば大丈夫です。
洗面所も水を扱うことから、運気が低下しやすい場所として知られています。
洗面所に盛り塩を置く際にも、できるだけ生活をしていく中で邪魔にならない場所に設置しましょう。
水回りは、いずれもうっかり蹴とばしてしまうような場所に置くと、盛り塩としての機能を失ってしまいます。
できるだけ安全な、安定した場所に設置をすることが大切です。
盛り塩に使用する塩は、古来より海で身を清めるという行為を行っていたため、海水由来の天然塩を使用することが好ましいとされています。国産の添加物の入っていない粗塩を使用すると良いでしょう。
粗塩は特に加工の少ない塩として知られていますが、中には添加物の入った粗塩もあるので、購入する前には一度原材料をチェックしておきましょう。
ひとつの盛り塩を制作する際には、約10g程度のお塩を用意すれば大丈夫です。
スーパーなどで販売されているお塩を盛り塩として使用することもできますが、盛り塩専用の清められたお塩なども販売されています。
適切な塩を用いることによって、よりその場所の邪気を吸い取ってもらいやすくなりますので、塩選びにも気を配りたいですね。
盛り塩を作るためには、塩と塩を置く小皿、成型する固め器、ヘラがあると良いでしょう。
固め器とはその名前の通り中に塩を入れて、小皿の上にひっくり返して置くことで盛り塩の形を作り出すものです。八角錐形や円錐形などの形をした固め器があるので、好きな器を選びましょう。
ヘラは固め器に入れた塩を抑えるための物で、盛り塩専用のヘラも販売されています。
小皿はできれば盛り塩専用のお皿を用意することが好ましいのですが、基本的には陶器製の小皿を用意すれば問題ありません。サイズもあまり邪魔にならないように、5cm程度の物を選ぶことが取り扱いやすくおすすめです。
大きすぎると置き場所に困ってしまいますので、各場所に合わせてサイズを決めるのも良いでしょう。
〇用意する道具
塩・固め器・小皿・ヘラ
〇盛り塩の盛り方
@固め器に塩を入れます。
1/3くらいお塩を入れたら、隙間ができないように指で軽く押さえましょう。
その後、器がいっぱいになるまで塩を入れていきます。
A固め器の中にいっぱいまで塩を詰めた後は、その器ぎりぎりになるようにヘラを使い丁寧に押さえつけます。
盛り塩の底になる部分は平らになるように丁寧に成型してください。
B小皿の上に固め器を裏返しにして乗せて、ゆっくりと固めて器を抜いていきましょう。
固め器をできるだけ真上に向けて引き上げていくのがコツです。
最初のうちはどれくらい塩を入れればいいのか分からずに、固め器を外した時に盛り塩が崩れてしまうかもしれません。
そんな時には、何度もやり直して納得できる形を作れれば大丈夫です。そして、風水的にも家の中をキレイに保つことが運気を上げるコツだと言われていますが、盛り塩もキレイな場所に置くことによって、よりお清めの効果を発揮することができる、と考えられています。
盛り塩を置く際には、一度その場所を掃除して清めてから設置すると良いでしょう。また斜めになってしまう場所、風が気になる場所だと形が崩れやすくなってしまうので、平らな場所に設置するようにしましょう。
盛り塩の処分方法として古来より行われてきたやり方は、キレイな川に流す、あるいは土に埋めるといった方法です。しかし現代では、環境問題的にどちらも難しいでしょう。
お庭の土に埋めるにしても、川に流すにしても土壌や水質が変化してしまいますのでおすすめできません。私有地以外では特に問題になってしまうので注意しましょう。
現代では使用し終わった後の盛り塩は、家庭用ごみとして取り扱うことになります。
ゴミとして捨てるのは少し後ろめたいという気持ちがあっても、トイレに流したりしないように気をつけましょう。
盛り塩として使用した塩を食用として再利用することは、健康的にはもちろん、せっかく盛り塩が吸い上げてくれた厄を体の内に納めることになってしまうのでおすすめできません。
それぞれの自治体のルールに従って、生ごみとして処分を行うようにしましょう。
もし神棚に盛り塩を供えていた場合、それは神々の気を受けた神聖な塩として扱われるため、食用として使用することが推奨されています。
玄関やキッチンなどの場所に飾る盛り塩とは少し意味合いが変わってきますので、念のため補足させていただきます。
盛り塩を処分するタイミングについて考えることもありますが、こちらは定期的に取り換える必要があります。
何故なら、盛り塩の主な効果としてその場所の悪い厄を吸い取るという役目があるためです。
同じ盛り塩を使用し続けるということは、厄を閉じ込めた塩を身近に置き続けるということになります。
目安としては、1ヶ月の間に2〜3回程度交換を行うことがおすすめです。月始めと月の半ばに取り換えるなど、ある程度のルーティンを組んでおくと分かりやすいかもしれません。
玄関など土埃が舞いやすい場所に置いている塩は、その期間を待たずして汚れが付いてしまうこともあります。もし汚れが付いてしまったり、変色してしまった場合には、速やかに新しい盛り塩へと交換を行いましょう。
お風呂場に置いている盛り塩が水に濡れて溶けてしまった場合にも、新しい物に交換してください。盛り塩を丁寧に管理していくことによって、盛り塩の持つ清めの効果を持続することができます。
盛り塩は古来より縁起を担ぐもの、そして厄を払う物、清める物として使用されてきました。
現代でも運気を重視する商店や会社などでは、盛り塩の文化は脈々と受け継がれています。
一般の家庭でも行うことができる盛り塩、清々しい気持ちで毎日を過ごしたいという方は盛り塩の意味や置き方、置き場所などを確認し一度チェレンジしてはいかがでしょうか。