Story -vol.1-
その出会いは突然やってきた。
フランスのとある蚤の市を回っていたときのこと。沢山のアンティーク雑貨に囲まれた一角に、色とりどりに煌くアクセサリーを見つけた。
チェコにこんな素敵なボタンがあるなんて!
胸が高鳴るのを感じながら、夢中で調べた。
チェコのボヘミアガラスはヴェネチアンガラスと並んで有名だ。
でももっと身近なガラスビーズやガラスボタンも豊富で、また違った魅力がある。
その中でもガラスボタンを探すならこの町、『ヤブロネツ・ナド・ニソウ』だ。
チェコへ降り立ったのは寒さの厳しい2月だった。
プラハからバスに乗り、1時間ほどでヤブロネツに到着。そこは小さな町で、プラハから来ると田舎に来たなと感じる。
この町にはビーズショップが数多く点在する。その圧倒的な量、種類の豊富さには驚いた。
案内してくれたのは70歳過ぎのオーナー。実際に作っている様子も見せてくれた。
がしかし、夢中になりすぎて肝心の作っている写真を撮り忘れるという大失態…。
なのでHPからいただいた写真でご紹介しよう。
型を抜いたら周囲の余分な所を削り、綺麗に整える。
この透明なボタンに今度は絵付けをしていく。
ガラス自体に色があるものもあれば、裏面を着色することによってガラス越しに色が透けるものもある。
オーロラのように見る角度で色が変化する着色もあり、いくら見ていても飽きない。
各工程で担当が分かれていて、それぞれが熟練の技を持っている。
それが結集してこの美しいボタンが完成するのだ。
案内してくれたオーナーは「老人の趣味でやってるんだよ」と笑う。
どんな素晴らしい伝統も技術も、後継ぎがいなければそこで途絶えてしまう。
私たちに何が出来るかわからないが、まずはたくさんの人に魅力を知ってもらうこと、それが少しでも伝統が続いていく力になればと思った。
そんな気持ちも抱きつつ、数あるデザインの中から選んでオーダー。
さっそくアクセサリーパーツを手配した。
チェコのガラスボタンにリングやピアスのパーツを付けてアクセサリーにする。
そうして、もっと気軽に、もっと自由にガラスボタンを身に纏って欲しいと思った。
手作りだからひとつひとつ微妙に違う。
ハンドメイドの温もり、レトロなデザイン、ガラスならではの透明感を味わってほしい。
また、蚤の市で自分だけの特別なアンティークアクセサリーに出会った時のような、そんなときめきやワクワクもお届けできれば嬉しい。